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硬質皮膜の付着強度を膜の剥離する臨界荷重で評価する、スクラッチ試験機が採用するスクラッチ試験法の測定原理をベンジャミンアンドウェバの計算式を用いて紹介いたします。
印加荷重と密着強度の関係(ベンジャミンアンドウェバの計算式)
本試験機で採用しているスクラッチ試験法は、機械工具の超合金皮膜をはじめとする高い密着強度の膜に対して応用可能です。一定の曲率半径を持つ硬い(ダイヤモンド)圧子を膜面に押し付け(図1)、荷重を増加させながら膜面を引っ掻き、膜の剥離が発生する荷重値(臨界荷重値)から密着強度を求めます。膜の破壊を検出する方法として、摩擦力をロードセルでモニタリングし、破壊に伴う変化を検出します。他にもマイクロホンにより破壊に伴う音を検出する方法(AE計測)もあります。どちらの方法を用いた場合にも、剥離点(または破壊点)を推測することは可能ですが、確実性を高めるために顕微鏡などを用いてスクラッチ痕を観察し、破壊した地点の特定が必要となります。なお、顕微鏡でのスクラッチ痕の観察においては、①亀裂などの異常が発生した点((Lc1)②部分的な膜の剥離が開始した点(Lc2)③接触部位の膜が全て剥離を開始した点(Lc3)など、各種判断基準があり、目的によりそれらを選択する必要があります。得られた臨界荷重値(W)から圧痕周縁部の界面で作用する最大応力として密着強度(f)は以下の式で求められます。(圧子の曲率半径をR、基板のブリネル硬度をHとします)
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